【読んだ本】蔵前仁一/あの日、僕は旅に出た

[tmkm-amazon]9784344024250[/tmkm-amazon] 出版社としての旅行人の成り立ちと、雑誌としての旅行人が終わるまでの足跡。 今まで読んできた蔵前さんの本や、旅行人関連の著者の紀行文の裏話が書かれていて、純粋におもしろかった。中学生のときに七尾の図書館で「さいとうふうふ」の不朽の名作「バックパッカーパラダイス」を読んだときの、大人になったら海外旅行するんだとわくわくしていた気持ちがよみがえります。 20140922 ギリシャの学会の発表の前日にホテルの部屋で発表練習をしながら読了。   2011年の最終刊。もちろん買いました。 [tmkm-amazon]B006DE9LOS[/tmkm-amazon] ぼくが最初に読んだ旅行人の本。 [tmkm-amazon]9784947702029[/tmkm-amazon]

【読んだ本】竜田一人/いちえふ(1)

[tmkm-amazon]9784063883183[/tmkm-amazon] 前から読みたいと思っていた漫画です(第34回MANGA OPEN大賞を受賞)。発行は2014年4月。2012年に半年間、福島第一原発の構内で働いた作者の体験記。現実をドライに描いた部分と、著者の熱い思いが込められた部分が意図的に切り分けられていて読みやすいです。原発の構内で働けるようになるまでの紆余曲折を、読者も追体験できるような構成にしつつ、多重下請け構造の現実を上手に表現しています。総じて、非常によい作品で、多くの人に読んでもらいたいです。ネット上では脱原発運動に対する敵愾心を非難する意見も見かけますが、どのように描いても文句を言う人がいるテーマにおいて、本作はいいバランスを保っていると思います。むしろ「マスコミや一部の運動家があおり立てる根拠のない陰謀説を信じ込んだり、無知を正当化したりしていないで、自分でよく勉強しましょう」という主張と読み取りました。 MANGA OPEN大賞を受賞したときの作品が、第零話「ご安全に!」としてモーニングのウェブ上で無料で公開されています。必読。 第2巻の発売は2014年秋となっているので、出たら読んでみようと思います。

【宇宙】X-ray Universe 2014のスライド公開ページ

2年に一度開催されるヨーロッパ宇宙機関(ESA)のX-ray UniverseというX線天文学の国際会議があるのですが、6月に開催された2014年分の発表スライドとポスターがカンファレンスのウェブサイトで公開されています。 ぼくは今回は参加できなかったのですが、とても面白そうな発表がおおく、スライドを見ているだけでも参考になります。2012年に打ち上げられたアメリカのNuStar衛星の観測結果も続々と報告されていて、エキサイティングです(NuStarは10 keV以上の硬X線とよばれる、いままで検出が難しかった光も、鏡で集光することで高感度のイメージングができるのが特徴)。 なお、やや旧聞ですが8/27にNuStarのはじめてのGuest Observer Program (GO1)がアナウンスされています(世界に開かれた天文台として観測提案=プロポーザルを受け付けて、ピアレビューによって準位付けをして、上位のものだけが採択されて実際に観測されるというプログラム)。プロポーザルの締め切りは2014/11/27。ぼくは今日、最初のプロポーザルを書き終えました。できればもう一つ用意したいところです。

【読んだ本】榎木英介/嘘と絶望の生命科学

[tmkm-amazon]9784166609864[/tmkm-amazon] オフィスの先輩が、読み終わったというのでかしてくれた本。 医師が書いた本ですが、内容的にはSTAP問題に触発されて営利目的で出版された数多くの便乗本と大差ありません。任期付博士研究員(ポスドク)がおかれた厳しい研究環境と、予算配分や・研究者の評価をとりまく問題、たとえば「競争的資金の不透明な審査」、「有名論文雑誌に掲載されることだけを目指した研究テーマ設定」、「短期的に成果を上げることを強調しすぎるあまり使い捨てられるポスドクたち」について、著者の主観にもとづく評価(といっても、ポスドクのおかれた状況はヒドいヒドいと嘆いているだけ)と、いくつかのエピソードが(水増し的に何度も何度も繰り返し)載っているされるだけで、定量的なデータに基づいた論評はごく一部です(しかも手に入りやすい資料に掲載されたデータを自分でプロットし直しただけ)。 プロの医師の文章として気になるのは、「かもしれない」が多いところと、文の最後が「、、、」となって、ポイントを明示せずに濁して終わるところ。前半は(誰かのデータをプロットしただけだとしても)定量的な数字やデータが示された文章が多いものの、後半になると息切れして、内容を膨らませるために「かもしれない」のような著者の想像にもとづく記述が増える。とくに194ページの 笹井博士を著者に加え、あるいはレータの論文で責任著者にしたのは、笹井博士が何度もネイチャー誌に論文を掲載している有名人だからなのだろうか。論文の採用の確率を高めるために、笹井博士の名前が著者に必要だったのではないか。その御礼として、責任著者をプレゼントしたのかもしれない。 という箇所と、 もっとも、2014年6月13日に公表された理研の研究不正再発防止のための委員会の提言書は、笹井氏がSTAP細胞の研究に主体的に関わっていたとしているが……。 という箇所。2ちゃんねるの書き込みと大差ない。 amazonのレビューで高評価の人がいることが驚きですが、中には「ブラックだ、奴隷だと煽っても問題は解決しな/ゆうさん」のように、冷静な評価もあってほっとします。ポイントとしてあげられた『特殊な例を基に一般化しすぎ』『ポスドクや大学院生に対する視線に暖かさが感じられない』というのは、ふた言でこの本を評していますね。 広島大学の長沼毅先生の本といい、IPMUの大栗博司先生の本といい、内容のレベルの高さ、プロフェッショナル度に期待して期待して読んだ本が面白くないと、反動でがっかり感がすごい(とくに新書については、タイトルと中身が一致しないものを出版社業界全体として自主規制し、取り締まるべき。タイトルに引かれて買った本に、知りたいことが書かれていなかったときのがっかり感は、出版不況に十分役立っていると思う)。すでにいろんな人が同じようなことを言っていて、たとえばここ(天漢日乗)には…

【宇宙機】ERGの打上年度変更(FY27→FY28)

JAXA宇宙科学研究所がリードして建造中のジオスペース探査衛星「ERG」(イプシロンロケット2号機で打上予定)について、2014年8月27日の第15回宇宙科学・探査部会の資料で打上年度の変更が報告されています。搭載機の課題解決のため、平成28年度打上に再設定されるようです。挑戦的ミッションにおいて、事前に予見できない課題 がプロジェクトの途中で顕在化することが珍しくないことは、大型の開発プロジェクトを経験したことがある方には、宇宙科学にかぎらず分野を超えて理解できると思います。(もうさんざん頑張っておられると思いますが、、、)プロジェクトの皆さんにはぜひ頑張って課題を解決していただき、美しいイプシロンの打上げがはやく見られることを願います。 興味のある方向けに資料へのリンク、プロジェクトの紹介ページをまとめておきます。国民全体で宇宙科学を応援しましょう。 資料1 – 宇宙科学探査部会 第十五回 資料1 (2014/08/27) 宇宙政策委員会の会合履歴・資料へのリンクのページ…

【QDP】x軸の数字を消す

天体の時間変動解析で、spin-folded light curve等を縦に並べて表示する際、QDPのX軸の数字ラベルを消したい場合は、以下のようにしてください。 windowを2個つかってプロットする場合、以下のようになります。 詳細な説明はNASA/GSFC HEASARCのQDP Labelコマンドのページを参照してください。 プロッティングの参考書: [tmkm-amazon]9784877832087[/tmkm-amazon] [tmkm-amazon]9784797368864[/tmkm-amazon]

【読んだ本】僕たちの前途

[tmkm-amazon]9784062180825[/tmkm-amazon] 「だから日本はズレている」と「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります」に続いて、古市さんの本。「セーフティネットを拡充して、すべての人がやりたい仕事にチャレンジできるようにしましょう」というのが最後に書かれた著者の主張なのですが、そこにたどり着くまでがだらだら長い。結論への道のりの大部分は、自分が一緒に働いている人の紹介と、その人たちを通じて知り合った「やりたいことをやっていたら、ビジネスにも成功した若者たち」のサクセスストーリー。そこに、古市さんががんばって調べて読んだ多数の文献への参照が、余裕を装いながらちりばめられていて、その強がりはもはやかわいいと思えるレベル。駒場〜本郷時代に、自分とのあまりの感性と文系的能力の違いにぼくが憧れた「表象文化論に進学するマジですごい人たち」みたいになりたいんだろうな、と。 で、ISBNをコピーペーストするためにamazonのページを開いたら、思ったよりレビューのスコアが悪かったので投稿されているものを読んでみたら、「商魂は認めるが内容は無い」とか「名前を落とすような安易な出版」とかヒドイ言われよう。一方で、「『絶望の国の幸福な若者たち』ほどのインパクトはない。」という人もいて、ということは、『絶望の国の幸福な若者たち』はもっと面白かったのでしょうか。次はこちらをを読んでみようと思います。 20140906読了。