【読んだ本】長與善郎/復刻版 少年滿洲讀本

[tmkm-amazon]9784199070365[/tmkm-amazon] 昭和13年(1938年)、満州国の建国(1932年)から6年目に発行された、子供向けの満州紹介紀行文。お父さん(松島公造)と息子2人(一郎くん・二郎君)が、夏休みに満州で働く親戚を訪ね、鉄道や飛行機を乗り継いで各地をめぐり、満州の地理や人々ん生活を学ぶ旅を描いています。 学生時代から戦前・戦中の日本と近隣諸国の関わりに興味があり、ほんの一部では有りますが満州のいくつかの街にも訪れたことがあります(2009年に旅行した時の写真)。本屋でこの本を見つけて、当時の日本人にとって、満州はどのような存在であったか、満州に済む人々の暮らしはどのように紹介されていたかが気になって、読んでみました。旅行前のお勉強の時間に、満州の広大さと様々な地理的要素があることについて解説していたお父さんは 何分広いもんだから、多くの満州旅行者のように大連からせいぜい哈爾浜くらいまでの古い満鉄沿線一本を縦に素通りした位では、変化に飛んだ満州の風景をいいの悪いだのと語る資格はないわけだ。 と述べていますが、ぼくが旅行したのもまさしくその通りのルートで、中国東北地方のほんの一部しか見ていません。この本では満州全域を訪れ、各地の気候や特産品(農産物、石炭、製紙、製鋼)、当時の人々の暮らしについて、鮮明に見えるようなよい文章で解説しています。 時代としては日中戦争のさなかであり、子ども向けの本ではありつつも、東アジアの各地を占領しつつあった日本の独自の論理(五族協和、興亜、西洋人に支配されない東洋人のための東洋を日本主導でつくる、など)が強調されている面はあります。が、一方で、今の日本にもほとんどそのまま通じる分析が登場するのも興味深い点です。とくに感心した文章を抜粋して紹介します。 こういう民族的に複雑な寄り合い所帯で成っている特殊な国情では、法規の厳然たることも大事に相違ないが、いたずらに煩雑な組織や日本流の融通の聞かない杓子定規主義は只うるさがられるだけだ。中央の基礎と機能とを鞏固にして、大本の対向方針さえ確かり定まってきれば、あとはなるべくその場その機に応じた経験と理解ある適材本位でいくのがいい (中略) 由来他民族と交わることに不慣れな日本人は、兎角その点で失敗してきたのだ。 (中略)…

【世界のWiFi事情】ブリュッセル空港

先日、Cubesat Symposiumでベルギーを訪れた際、ブリュッセル空港のWiFiの使い方でハマったので、書いておきます。結論を先に書くと、1回目の登録作業で最後に表示されるユーザ名とパスワード(長い)を、最初の画面に戻って入力しないといけません。 1. 最初に接続すると、以下の様な画面になるのでFree Internet 1hourをクリック。 2. Facebookアカウントでログインするか、住所・名前等をマニュアルで入力するよう促されます。Facebookアカウントでのログインはうまく動かなかったので、住所・名前を入力して先に進みます。   3….

【読んだ本】藻谷 浩介・NHK広島取材班/里山資本主義

[tmkm-amazon]9784041105122[/tmkm-amazon] 帯には東京大学の書籍部でよく売れた本とあって、読んでみるとなるほど大学の教養課程の教科書にちょうど良さそうなトピック。日本のいわゆる田舎にある自然(この本で具体的にでてくるのは、木材の有効利用)や境界条件を活かして、マネー経済にたいするalternativeを構築しましょうというのがメインテーマ。「2011年の震災のときに、お金があってももの(食料)が買えない、ということに対する恐怖を感じましたよね」「大規模に集約された生産体制と広域の流通システムは効率的な反面、一旦システムが停止すると影響を受ける範囲も大きくなる」「より小さな単位、地域(田舎の市とか町とか)や近所の単位で、自給できるところは自給する仕組みをつくることはできます」「たとえば○○市の■■さんは、、、」という流れであとはいくつかの事例が紹介されるスタイル。NHKの取材班メンバーが章ごとに分担して執筆しているので、例え話や情緒に訴える記述ばかりが続く、ロジックの淺い章があったり、章ごとの内容の重複もかなりもあります。あとがきに相当する藻谷さん担当の章で述べられる『「日本経済ダメダメ論」の誤り』は、ちょっと前まで(今でも)深刻な問題とされていた「デフレ」の本質を、経済の専門家出ない人にもわかりやすく説明してくれていて、良文。日本的なデフレは、「人口減少と供給過剰による値崩れ」であって、イノベーションとか成長戦略と言われているものが要請している具体的な行動は「企業による飽和市場からの撤退と、新市場の開拓」というのも、わかりやすい。日本の貿易収支や国際収支の定量的な数字やグラフが出ているのも参考になりました。 現代の大量生産・消費型の資本主義は限界で、それを駆動するマネー経済から離脱、もしくはちょっと違う経済を併用する選択肢もあるという思想は、最近流行っているんですね。この点では高城剛の書いていることと方向性は似ているのですが、「里山」に関連する人々を説明する中で、高城剛の嫌いな「スローライフ」などの安易な単語も登場するので、各論では相違があります。高城剛のように、世界をめぐって流動性を志向する人もいれば、この本のように、田舎にあるリソースをうまく活用して都会とは違う生活をしましょうという人もいて、マネー経済から脱却するというのも流派よって具体的な実践についてはさまざま。また、ぼくは石川県出身で、高齢化したりお金を稼げる地場産業がない田舎の状況を体感的にわかっているつもりですが、ずっと東京で育った人の場合は、この本で紹介される取り組みを違ったふうに感じるかもしれません。 20150908 Cubesat Symposiumでベルギーのリエージュに向かう電車の中で読了。