【読んだ本】石田衣良/池袋ウエストゲートパーク

オリエンタルラジオの二人が、トーク中にたまに用いるワードの一つに、テレビドラマ版 池袋ウエストゲートパークの窪塚洋介演じる安藤崇(池袋Gボーイズのキング)の「キーングーなりー」があります。以前からどんなドラマだったのか気になっていたのですが、ドラマ版の放送から16年、原作小説の出版から19年たって、ようやく読むことができました。 エロ・バイオレンスをちりばめた「ノワール」調を採用しつつ、各回の主題は売春やカラーギャングなど90年代後半の当時の若者の身近なテーマ。主な登場人物も未成年が多いことから、馳星周の不夜城をもう少しソフトにしたような作品という印象。それほど肉体的・精神的に強靭なわけではない主人公が、なぜか前編を通してほぼ無敵状態(死なない)という設定も共通しています。不夜城が1冊まるごと一つのお話なのに対して、こちらは短編集という違いもあるかもしれませんが、すでに不夜城シリーズにのめり込んだことがある読者にとっては、全体的なストーリーはこびのダイナミックさ、結末に向かうスピード感がやや物足りない感じがしました。が、続編もあるので、続けて読んでみようと思います。 20161014羽田→シンガポールの飛行機の中で読了。

【読んだ本】夏目漱石/「三四郎」

2週間ほど前からiBooksで読み進めていたものを、シンガポールから羽田に向かう飛行機の中で一気に読了。取り扱っているテーマは、田舎から出てきた大学生とその周囲の人々の交流。新しい時代の雰囲気をまとう魅力的(?)な女性に、惹かれているような、そうでもないような、はっきりしない感じ。石川から東京に出てきて、駒場・本郷に通っていた15〜10年前の自分も100年前の三四郎も、同じようなことを考えていたのかと思うと、21世紀初頭も20世紀初頭も日本人の内面はあまり変化していないなとつよく感じました。登場人物の話し方や、話す内容、生活のいろいろな場面の描写が上品でおしゃれで、文化の香りがします。2人の女(美禰子と野々宮の妹)もとても魅力的に描かれています。 ぼくが本郷に通っていたときに住んでいた根津・谷中・千駄木のエリアが主な舞台で、毎日自転車で通っていた道を、三四郎や美禰子、野々宮や広田先生が歩いています。団子坂の菊人形を見たあとで、二人で抜け出した三四郎と美禰子が座っていた藍染川のまさしくそのあたりに、ぼくも住んでいたのでした。実際に千駄木に住んでいたときに読んでおけばより楽しめたのに。 この物語の読後をよりよいものにするために、「漱石が見た風景」で解説される本郷周辺の地図や、明治40年代当時の帝大の写真も必見(文字化けする場合は、エンコーディングをShift-JISに設定するとなおります)。冒頭から何度も登場する「野々宮の理科大学」は、ぼくが通っていた理学部の前進。現代の理学部一号館も悪くないですが、昔の建物もすごくおしゃれです(本郷キャンパスとは思えないくらい、周りに他の建物がないので、今となっては不思議な感じです)。また、普段はGoogleの検索結果からもブロックしてしまっているYahoo!知恵袋ですが、「夏目漱石 三四郎で美禰子が好きだったのは三四郎だったのか、、、」のベストアンサーは、この物語の中の美禰子の描かれ方を端的にまとめた、本当のベストアンサーでした。次の版の三四郎の文庫版のあとがきにしてしまいましょう。 東京滞在の最終日に、根津の「はん亭」で串揚げのランチを食べたついでに、本郷キャンパスを散策して、三四郎池や理学部の建物を見てきました。第一購買部の隣の製本所や写真屋さんがまだ営業していて、安心しました。その隣には、しゃれた感じの美容室が入っていました。 20161005読了