2週間ほど前からiBooksで読み進めていたものを、シンガポールから羽田に向かう飛行機の中で一気に読了。取り扱っているテーマは、田舎から出てきた大学生とその周囲の人々の交流。新しい時代の雰囲気をまとう魅力的(?)な女性に、惹かれているような、そうでもないような、はっきりしない感じ。石川から東京に出てきて、駒場・本郷に通っていた15〜10年前の自分も100年前の三四郎も、同じようなことを考えていたのかと思うと、21世紀初頭も20世紀初頭も日本人の内面はあまり変化していないなとつよく感じました。登場人物の話し方や、話す内容、生活のいろいろな場面の描写が上品でおしゃれで、文化の香りがします。2人の女(美禰子と野々宮の妹)もとても魅力的に描かれています。

ぼくが本郷に通っていたときに住んでいた根津・谷中・千駄木のエリアが主な舞台で、毎日自転車で通っていた道を、三四郎や美禰子、野々宮や広田先生が歩いています。団子坂の菊人形を見たあとで、二人で抜け出した三四郎と美禰子が座っていた藍染川のまさしくそのあたりに、ぼくも住んでいたのでした。実際に千駄木に住んでいたときに読んでおけばより楽しめたのに。

この物語の読後をよりよいものにするために、「漱石が見た風景」で解説される本郷周辺の地図や、明治40年代当時の帝大の写真も必見(文字化けする場合は、エンコーディングをShift-JISに設定するとなおります)。冒頭から何度も登場する「野々宮の理科大学」は、ぼくが通っていた理学部の前進。現代の理学部一号館も悪くないですが、昔の建物もすごくおしゃれです(本郷キャンパスとは思えないくらい、周りに他の建物がないので、今となっては不思議な感じです)。また、普段はGoogleの検索結果からもブロックしてしまっているYahoo!知恵袋ですが、「夏目漱石 三四郎で美禰子が好きだったのは三四郎だったのか、、、」のベストアンサーは、この物語の中の美禰子の描かれ方を端的にまとめた、本当のベストアンサーでした。次の版の三四郎の文庫版のあとがきにしてしまいましょう。

東京滞在の最終日に、根津の「はん亭」で串揚げのランチを食べたついでに、本郷キャンパスを散策して、三四郎池や理学部の建物を見てきました。第一購買部の隣の製本所や写真屋さんがまだ営業していて、安心しました。その隣には、しゃれた感じの美容室が入っていました。

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20161005読了